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夕方、我が家ではこつぶがピアノの練習をしていた。
そのそばに座っていた私は、なんだか焦げ臭い事に気がついた。
料理はしていないので、それは我が家ではなく。
しかも外から入ってくる臭い。

ご近所で何か焦がしたのかな?

と思いつつこつぶのピアノに付き合っていたんだけど。

やはり、ヘンだ。
どこかで火事かも。
まだ誰も気がついていないんだったら、やばいかも。

そう思って、窓を開けて外を見た。
焦げ臭いがうちと隣り合わせた近所ではなさそう。
そう思ったら、消防車のサイレンがどんどん近づいてくる。

するとこつぶが先に玄関から外に出た。
追いかけて出て行くと、自宅前を消防車が通って行った。
煙はすぐそこに上がっている。
消防車はうちの前を通っているし、煙の方向はこつぶのクラスメイトの家の方向。
もしかしたら。
そう思っていたら、先に煙のほうへ駆け出したのはこつぶだった。
その後を追いかけて行くと、前方に人だかり。
夕方ご近所での火事のせいか、子供の見物人も多い。

こつぶを追いかけて煙の方向へ進もうとした時、先に自宅前を走っていった消防車が十字路で立ち往生している。
そして後から来た消防車と何か話しており。
その場所から火災現場方向を見て思った。

「あの、ここから奥には消防車は入れませんよ」

私がそう言うと、後から来た消防車から降りてきた消防士さんが焦り始めた。
立ち往生していた先の消防車の助手席から消防士さんも降りてきた。

私達が立ち止まっているその先の道はミニバン程度の乗用車までなら通れるが、消防車は絶対無理。
その先に行きたければ、うちの前の道を後戻りして、表の通りに出て違う道に入らなければならない。
そんな説明をしたら、消防士さんが取り出したものが。

「地図」

そんなもんを見ながら火災現場に向かっているの?
カーナビつけてよっ

びっくり仰天したのは言うまでもなく←久々にびっくり仰天って感じを味わったよ。

とにかく2台の消防車はあまり広くない道路でバックしてUターンして火災現場に向かったんだけど。
1秒を争う火事の現場に向かうのに、少なくとも5分は損してる。

おまけに火事のあった家は隣家との境界は1mほどしか離れておらず。
加えて反対側は雑木林。
隣の家に延焼したら、そのまた隣とも1m程度しか離れていないため、延焼したら1軒だけじゃすまなそうな状況、プラス雑木林。
この雑木林に火が移ったら、そこらじゅうの家に延焼し大火災になりそうな状態。

なのに、入れない道を入って来た消防車(大汗)

もちろん消防車が悪いわけじゃない。
道が狭い事に問題があるんだけど←だからと言って、住宅街全部を道路幅6mになんてできるはずもないしね。

結局、消火活動はかなり遅れ、火元の家はほぼ全焼。
隣の家は壁などが黒くなっていたし。
その家の中にホースを通して消火活動していたから。
延焼は免れただろうけど、そちらの家の中も大変な事になったんだろうと思う。
不幸中の幸いと言えるのは雑木林に延焼はなく、一部の木が熱で枯れてしまったくらいだけど。

火事って、一瞬で何もかもなくなる。
過去、何度かご近所で火事があった時にも思ったが、今日改めて思った。

それに。
これまで一度も考えたことなかったけれど。
転勤があるため一戸建ての家を借りる事が多い我が家なんだけど。
絶対に消防車が迷わずに入って来られてすぐに消火活動できるような場所を選ばなくっちゃ、としみじみ思った。
道幅が狭いとか、入り組んでいるとか。
そんな状況は、大変な事になるよ、ほんとに。

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