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8月29日、夏休み最後の日曜日。
私は自治会の夏祭りで前日から寝食を忘れるくらい、大忙しだった。
当然だが、人材不足のため夫も借り出されており。
自宅は全く無人、おまけに携帯への連絡も忙しさにかまけて出られない状態になっていた。

だから。
実家で起きた大変悲しい出来事を知ったのは、夏祭りの後、夜10時を過ぎてからだった。
姉が何度か電話してきたのは知っていた。
だけど、忙しくて電話に出られる状況ではなく。
ようやく10時を過ぎて後片付けに一区切りがついた頃に電話したら。

昼間、実家の愛犬が死んでしまったそうだ。

実家のある九州も、今年はとんでもなく暑い日々が続いていたが、17歳を過ぎた愛犬はそれでも毎朝の散歩を楽しみにしていた。
だが。
日曜日の朝は、散歩に行きたがらなかったらしい。
そして、食事もできず。
母が心配して様子を見ていたそうだ。
そして、ずっと眠っているのをは母暑いせいだと思ったらしいが(多分、その現実を受け止められなかったんだろうと姉は言った)
声をかけても全然反応していなかったらしい。
あまりに暑いから熱中症になったのではないかと、母は水で冷やしたタオルをかけてやり愛犬を冷やしたらしいが。
母の声に反応する事は二度となかったそうだ。

17年前の6月。
梅雨入り前のちょっと暑い日だった。
数日前に自宅すぐそばの公園に捨てられていたらしい子犬が、はす向かいの家に入り込んだらしく。
犬が苦手な子供たちが大騒ぎしていた。
勤め帰りの私が、その騒ぎで様子を見に行くと、子供たちに石を投げられていたわけで。
思わず、その子犬を呼んだら私の元に逃げてきた。

子犬と言っても3ヶ月から4ヶ月くらいの大きさ。
母犬から離されても生きていけるくらいまでは、元の家で飼われていたのかもしれない。
白地に黒いぶちのある、犬種がまったくわからない雑種。
しばらく満足に食べることができなかったのだろうか、とても痩せていた。
自宅に連れて行き、食パンと牛乳を与えたらあっという間に食べてしまった。
こんな状態でも、生きたいという意思があるように思えた。

私が子供の頃から実家では何度か犬を飼っていた。
だが、その3年ほど前に、かわいがっていた犬をひどい病気でわずか3歳でなくした事がきっかけで

あんなにかわいそうな姿はもう二度と見たくない

とみんなが思ってしまい、もう犬を飼いたいとは誰も言わなかった。
そんな我が家に連れられて来たその子犬は、庭に捨てられずに置かれていた犬小屋にちゃっかりと入り込んでしまい。

そのまま私が世話を始めた。

私が世話をしなければ、子犬は公園に戻さなくちゃいけなくなる。
最悪、保健所行きだ。
家族もそれをわかっていたが、母が頑固に反対した。

でも。
時間が経てば

「今日はもうご飯をあげたのか?」

家族の誰かが心配するようになり。
いつの間にか、我が家の犬として扱われるようになった。

とは言っても、私は3ヵ月後の9月に結婚式を控えており。
私が強引に拾った犬だが、その後の責任は取れないわけで。
とりあえず9月になって去勢手術はうけさせた。
当然だが、私がその費用を出し(笑)
そして、その後は、母が食事担当、父が散歩担当という生活になった。

だが。
散歩担当の父が3ヵ月後に突然亡くなった。

結局、それから母が一人で17年間、世話をし続けたのだ。
もちろん、犬は絶対に恩を忘れないから。
帰省するたびに私が一番の飼い主だと言う態度を取り続けていた。
苦しい状態から助けてくれた命の恩人だから、たとえ一緒に住めなくても、私が一番の飼い主と言う態度だったのだが。
その後、うちに長女犬が来たあたりから、私には恩があるがお世話を続けてくれる母が一番、と言う位置関係になった。

それまで実家で犬を飼ったときは、母はいつも食事担当で、散歩に連れて行くなどほとんどしなかった。
だが、そんな母が愛情を持って世話をした結果か、愛犬はどこの人からも

「賢いわんちゃんですね」

と声をかけられるほど、母に従順に従い続け。
ご近所でも「おばあちゃんと犬」として知らない人がいないような状態だった。

そして十数年が経ち、犬も母も年をとり。
ここ2年ほどは、母も事故に遭って体が思うように動かせず、犬も耳の聞こえが悪くなったり多少痴呆が始まったりと老化が進んでいた。
暑かったり寒かったりする時期は、乗り切れるかと心配したりもしていたが、厳しい時期を乗り越えると自然に元気を取り戻して行き、当分はまだ大丈夫かなと思える状態が続いていた。

今年の春、去勢手術以来初めて獣医に診せるような病気をした。
どこかが痛むのか、これまで一度もしなかった遠吠えをし苦しそうだったので動物病院に連れて行ったそうだ。
母は必死の思いで「いくらかかっても出すから助けて欲しい」と言ったらしいが。
17歳の犬の全身を調べて病気を見つけ出し治療をするのは体の負担も大きいだろうという判断になり。
だが、痛み止めのステロイドを注射したら、その後苦しそうなそぶりもなくなったらしい。
私はその時点で、もう長くないかなと思い始めていたが、母は「元気になったからもう安心だ」と思っていた様子だった。

今年の夏、帰省した時もよろよろと歩きながらも、足元によってきて体をなでて欲しいとせがんでいたりした。
朝だけになった散歩も暑くない早朝に30分ほどゆっくりと歩いていたし、食欲もあったので、この夏を乗り切ればまだがんばれるかなと思えていたのだが。

でも。
寝たきりにもならず、年をとった母の手を煩わせる事もなく。
静かに息を引き取った。
きっと一番お世話になった母にこれ以上の心配をかけたくなかったんだろう。

実は、今年の夏、私たちが帰省した時、今までずっと我が家に集まっていた人たちがどんどんやってきたわけで。
愛犬は最後にみんなに会えた事で安心したのかもしれない。
これまで我が家の長女犬とは一定の距離を置いて接してきたのだが、1年以上ぶりに会ったら、珍しく鼻をつき合わせてしばらく一緒にに過ごしていたし。

最後にみんなに別れを告げることができて、愛犬は幸せな思い出を抱えて眠る事ができたのだと思う。

ただ。
母はかなり落ち込んでいた。
もちろん「天命を全うさせられてよかった、苦しんだり寝たきりになる事もなかったのは幸せだったはず」と納得はしているが。
一緒に生き、老いた17年。
これはもう母にとっては血を分けた子供同然の存在だったと思うから、深い悲しみを抱えているとは思う。
姉も「このままお母さんが、がっくりしちゃって具合が悪くなったら」と心配しており。
ほとんど実家に電話しない私が時間を見つけて、当分は毎日電話をする事になった。
翌日、朝電話したら、涙で言葉にならず。
姉の話によると食事もほとんどしなかったそうだ。

だが。
昭和ヒトケタはパワーが違う。
昨日、午後、電話をすると

「神棚の掃除をしようと思って」

午後からなんだかんだと動き始めたのだそうだ。

「このままだと、色んな事考えてつらいから、明日からリハビリにも行く(事故に遭って腰を痛めて以来、病院でリハビリを受けている)誰かと話をしたら、元気になれるから」

前向きに考えようと努力を始めたらしい。
77歳。
気持ちがぷっつりと切れてしまうのではないかと心配したが。
まだ先へ進もうと言う意思を持っている。
こんな強い気持ちがあるなら、乗り越えられるのかも。
もちろん当分は何日かに一度、電話してみようと思うけど。

きっと母も愛犬と同じように、苦しい事もなく、楽しいままで天寿をまっとうできるんじゃないかってそんな気がする。

ところで。
夫が実家の愛犬の死を聞いた後、長女犬に報告したら

わおーん

今まで遠吠えなど一度もした事のなかった長女犬が悲しそうに一声吠えたそうだ。
犬にも、ちゃんとわかっているのだろうな。

そして、こつぶは。

「天国のおじいちゃんに、お世話してねってお願いしたから、おばあちゃん、大丈夫だよ」

2年生なりの言葉で母を励ましていた。
死んでしまったと報告を聞いた日曜の夜、こつぶは父と犬の夢を見たそうだ。

「声は聞こえなかったけど、元気そうだった」

死をどんな風に理解しているかわからないが。
こつぶの中では、天国が本当に存在して、そこに二人のおじいちゃんと愛犬が住んでいるらしい。

長かろうが、短かろうが、自分が与えられた命を全うする事。
これが私たち全ての生命にとって一番の幸せであり、そして生きている間に自分が受けた愛情へのお返しなんだと思う。
この夏、私たち家族は、それを改めて学んだと思う。
きっと、17年ぶりに会えた父と一緒に私たちを見守っているんだ。
こつぶではないが、私も心からそう思える。

拍手[3回]

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【見守ってくれているよ…】
お疲れ様です。
私もかなり前、長女犬を看取り暫くペットレスになりました。
散歩大好き犬が歩けなくなり、それでも頑張ってゆっくり帰宅し、徐々に弱って行って…(うっ…涙が!)。

最期の最期は私の手から水を飲んで、その数時間後一声啼いた後静かに旅立って行きました。
徹夜の看病が続いていたので、私は夢うつつで最期の遠吠えを聞いていて。

色々あった15年、今でもたま~に夢に見ます。
きっと天国から私達を見守ってくれているんだなって思う。

お母様が1日も早くお元気になられますように。
【色々と考えちゃって】
実はね、母だけじゃなく私自身がペットロスに陥りそうなのね。
さすがに17年は我が家で飼った犬の中でも最長寿だし、もともと私が連れてきちゃった犬だったから。
これまでは実家に戻ったら必ず最初に迎えてくれていたのに、次はもういないんだなって。
元気だった頃は玄関の門扉を飛び越えられるくらいその場ジャンプができたのにとか、色々と思い出しちゃってね。
それに長女犬も11歳になったし。
あとどれくらいなんだろう、とか、余計な事まで考えて。
ああ、いけないね~、かなり後ろ向き。
こんなんじゃ、次の世界で(こつぶの言う天国)心配してるかもね(笑)
【お悔やみ申し上げます】
ご冥福を心からお祈りします
わんちゃん、天国で安らかに
【ありがとうございます】
コメントありがとうございます。
ようやく母も落ち着いたようです。
ペットロスで落ち込んでたら、長生きしてくれた愛犬に申し訳ないですよね。
愛犬がいたおかげで、私たちも楽しい日々を送らせてもらったんだなって。
今は、感謝の気持ちで一杯です。
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