先日、夫の伯母の家の整理をしなくちゃいけなくなった、って話は書いた。
誰も片付けてくれないから、私たちが仕方なくやらなくちゃいけないわけで。
それで、土日を利用して片付けに行ったのだが。
なにせ4年も戸を閉め切ったまま。
家は昭和初期に建てられたものなので、壁も天井も床も、見事にカビとホコリにまみれており。
スリッパなしでは室内にも入れないし、マスクや軍手を着用しなくっちゃ長時間の作業は無理。
家電のスイッチなんか入れたら一気に火事になってしまいそうだから、暖房なしでひたすら作業。
夫が言っていたようにタンスやら押入れやらにはびっしりと荷物が詰まっており。
その荷物の中にはありとあらゆる生活用品、日用品、衣類、紙類、文具類、書籍、その他もろもろ。
マンション住まいの大人2人子供2人の方々が持つお荷物の100倍くらいはあろうかと思われた。
だって、引越しなんかしないから不用品を片付ける必要ないし、昔の人だから
もったいなくて
なーんにも捨てないし←これが最大の原因(涙)
それをもくもくと選別し、捨てるものはビニール袋にどんどんつめるんだけど。
もったいないって言葉はこの家には存在しないわよっ(怒)
ってカンジで、もくもくと作業して30袋くらいのビニール袋ができたんだが、これで押入れ二つ分くらい(汗)
予想以上に、って言うか、今の段階(2日間でタンスを空にして押入れを二つチェックした程度)で
もういやっ、私、里に帰らせていただきますっ
って言いたいくらいの状況になっている。
でも。
終わりはいつか来るから、ただひたすらもくもくと続けていれば、いつか解放される
とは思っていた。
それが目標であるのだから。
伯母の家は相当な田舎にある。
義母が伯母の件について
「すべて放棄」
したのは、この「田舎」と言う場所も影響した。
ここ数日、主のいない伯母の家に色んな見知らぬ人が出入りしていれば
かなり目立つ。
例えば小さな島だと、出て行くのに必ず船を使うから、人の出入りはみんなが把握してたりするわけで。
事件が起こったら「他所から来たヤツ」が一番怪しく、すぐに解決する。
島じゃないけど、伯母の家はそんなところにあるわけで。
だから。
伯母の家の前に車が停まっている。
こんな事件が発生したら
一般社会にはもう消滅したような電話連絡網がフル活用されたらしい
土曜日、伯母の和服を運び出そうと車を移動させようとしたら←結局着物は100枚くらいあったが、4年もの間、風の入らない家のタンスにしまいこまれていたため、カビやらしみやらすごいことになっていたものも多かった。
二人のおばあちゃんが私の前に立っていた。
伯母よりも10歳くらいは若い、70代と思われる女性二人。
「あなたはここで何をしているの?」
と言わんばかりの視線で私を見ていたので。
怪しいものではない事。
夫が伯母の甥で、この家を片付けることを頼まれたので、片付けている。
みたいな話をした。
話をしながら
この二人が義母に直接電話をかけてきて、財産目当て云々と言った人たちなんだろう←これが原因で義母は相続を放棄して伯母の面倒も見ないと言い出したんだが
と予想がついたので
「義母も年をとりましてこちらに来るのも大変になったので、私たちが代わりに」
と言う言葉を添えた(私って嫁の鏡?)
それで、おばあちゃん二人は予想通りに
「もったいない」
を百連発くらい私に浴びせかけ。
「先生の家は大きいから、このままにしているのはもったいないしね~」
を30回くらい繰り返した。
とにかく、こういう状況になるのは片付けるようになった頃から予想しており、夫と私は
「割り切って考えよう」
と決めていたので、とにかく逆らわずに言うべき事だけをやんわりと繰り返した。
「人が住まないと家は荒れるばかり。放火されたりしたら周囲にも迷惑がかかる。先祖代々のものについては私たちがきちんと保管しなくちゃいけない」
おばあちゃん二人は納得した様子で
「もったいないけど、このままにもできないしね~。もったいないわね~」
何度も何度も同じ場所に戻る話にうんざりしながらも
この人たちを怒らせたら、話が厄介になる
と言う警戒をしたまま、ひたすら頷き虫となったわけで。
きっと70歳を過ぎたら、もったいない、しか脳内にはないのかも。
もくもくと聞き役に徹したおかげで、ようやく納得したような二人だったのだが。
「△先生ってご存知?」
いきなり。
あのね、私は伯母の甥の嫁で、帰国して5年ぶりに会った伯母とまともな会話をしたのは4年前が最後なのよっ。
「ちょっとわかりません。多分、夫も知らないと思います。伯母も言葉を話せる状態じゃないので」
伯母の交友関係を知るわけないだろっと思ったがとにかくひたすらこらえた。
で、そのおばあちゃん二人は目配せしあい、何かを納得したかのようにそそくさと帰っていった。
それで、解決したかと思っていた。
でも翌日、夫も私も「田舎の常識」を知らなかった事をつくづくと思い知らされた。
このままじゃいつまでも片付かないよと思いなおし、スピードアップして片付けていたら
「私△なんですが」
といきなり△先生が登場。
夫が入り口近くで作業していたので、応対に出たんだが。
△先生いわく
「私は伯母さんと同じく手芸を教えており(伯母は定年後手芸教室を開いていた)伯母さんがホームに入るときに、伯母の手芸材料をすべてもらえるという話になっていた。どこにあるかわかっているので、中に入らせて欲しい」
い、いきなりかよっ(汗)
その人が△先生なのだろうとは思うし、伯母が元気な頃にそういう約束をしたのもありうる話。
実際、伯母の荷物の中には販売元に
着払いで全部返品してやりたいっ
って思うくらいの手芸材料が山ほどあり。
夫なんて「こんなもんいらないだろう」と、どんどんごみ袋に詰め込んでいたくらい。
だから、いまさら手芸材料なんて(とは言え、ごみ袋に入れたのは全体から見るとほんのわずか)と思った夫は
「ちょっと今はそれを分ける事は無理です」
と答えたんだが。
△先生は
「私はどこにそれがあるかを知っているから、大丈夫」
と無理矢理家の中に入ろうとするわけで。
でも、その話が「真実」かどうかも、その人が本当に△先生かもわからないわけで。
そんな人を普通「ささっどうぞどうぞ」と家には上げないだろっ
で、夫が断ると。
「◇さんと今日この家の鍵を借りる話ができているから、あなたたちが帰ってから入ります」
捨て台詞を残して帰って行った。
はぁ?
言葉もなく、夫と私は茫然自失。
◇さんとは伯母の後見人になってもらった老人ホームの責任者。
後見人ではあるが、伯母は存命中なんだし、伯母が亡くなるまでは、身内である夫たちにこの家のものすべての権利があるわけで。
何ゆえに、赤の他人が
「私はもらう約束をしている。生き形見分けしてもらう」←△先生が言った。
と言って来るのに許可するんだろう?
それにあくまでも身内が整理しているんだから、その老人ホームの人に「鍵を貸せ」なんて電話すること自体が、おかしくないか?
で、夫が◇さんに連絡をし、その手芸材料については整理してすべてあげるから、家には勝手に入らせないでほしい、という話をしたんだが。
夫が言うにはこの◇さんも、脳内には「もったいない」しかないような人らしく。
どうせ捨ててしまうものなので、必要なものはあげます、と夫が言ったら
「玄関にある飾り棚を妹が欲しがっていた」←本当に妹か?
と欲をちらつかせたらしい。
その飾り棚は伯母の家で一番高級品かと思われる(作られた当時でウン百万はした手作りのものらしい)
昔、伯母と義父の家は羽振りがよかったらしく、その頃に作られたものらしく。
したがって、年季も入っているので、ウン百万のものは数千万の可能性がないとは言えない。
一応、鑑定師さんに見てもらうけど、ウン千万でも私たちはいらないかなと思っていた。
義母にそういういきさつを話したら
「あれは、相当高級なので、あなたたちがもらって置くように」
といわれたけど、どう考えても私たちの生活には必要じゃないし、◇さんにあげることにした。
(現金化しても、それはみんな老人ホームに入るようなお約束)
当然、それをもらったら、今後他人を家の中には上げまい、と夫は思っているようだが。
どうも、色々登場してくる伯母の友人や周囲の人達の常識と私たちの常識は
正反対
のような気がするわけで。
したがって、◇さんがあの飾り棚をもらったんだったら、私はこれが欲しい、なんて人たちが
わんさかわんさか押し寄せてくるんじゃないか?
夫と二人、人間の欲と常識について、ひたすら考えさせられている。
だって、義母まで「☆のバッグを持ってきて。それと伯母さんが黒真珠のネックレスを持ってたから、見つけたら取っておいて」などと言い出し
相続放棄は何のことなんだっ(怒)
断っておくが、今じゃ年金しか収入がなく、預貯金も底をついてしまって入院先から皮膚科に通うタクシー代に困っている伯母のために
いくらかでもお金が入るように
と思って借家にする話を進めているわけで。
私たちは伯母の死んだ後の財産を狙っているわけではないし
今、伯母にとって必要なことを最優先したいと思っているだけなのだけど。
周囲の人たちには
伯母が認知症になったのをいいことに、勝手に遺産を現金化して自分達の物にしようとしている←2時間ドラマの見過ぎだってば。
ってしか見えないんだろう。
身内じゃないのに色んなところに気を使いながら、伯母の荷物を処分しようとしなくっちゃいけない夫って超かわいそう。
これが私たちには常識なんだけど~。
あの土地に行くと、非常識者、なんだろうか???
ところで、夫が大事に抱えて来た義父の写真類を義母は
「そんなものいらないわよ」
とあっさり片付けてしまったわけで。
世の中って、本当に無常。
私たちは伯母の家を片付けるだけではなく、間違いなく夫の実家を片付ける役目もまわってくるわけで。
こんな苦労をこつぶにはさせたくないから。
私たちは絶対に自分で自分の荷物を整理できる間に老人ホームに入ろうと固く誓ったのだ。
とにかく、こんな「非常識」なお片付け生活はまだ続く(涙)